ここでは、マーケティング戦略の重要な位置づけとなる口コミ収集アプリについて詳しく解説します。中国アリババグループの口コミサービス「口碑(koubei)」の事例などを参考に、口コミマーケティングの重要性を確認していきましょう。
かつてテレビのない時代は、家族や知人などから得られる口コミが重要なマーケティング機能を果たしていました。
その後、テレビが台頭してからは、スポンサー企業が一方的に発信するCM等がマーケティング戦略の主流に。そしてインターネットが普及した現代、ふたたび口コミが重要なマーケティングツールとして、多くの企業から広く脚光を浴びています。
ネット上の口コミが業績を大きく左右することは、もはや説明するまでもないでしょう。
たとえばAmazonで買い物をする際、あるいは楽天トラベルでホテルを探す際、ほとんどのユーザーは、レビューの内容に目を通すはずです。いかに販売企業が「良い商品である」とうたっていても、レビュー評価が低ければ売れません。逆に、たとえ商品に関する情報が質素であったとしても、高評価のレビューが多く集まっている商品ならば、売れる見込みがあります。
ユーザーの購買モチベーションにおいて口コミが重要な位置づけとなる以上、商品を提供する企業としては、積極的に口コミをマーケティング戦略の一環にとりこむことが重要となります。
口コミが重要なマーケティングツールになるとは言え、オリジナリティに欠ける従来型の口コミ情報アプリは、もはや一部の企業の寡占状態。各商品に対する感想を並べるだけの口コミアプリを開発しても、Amazonや楽天、Yahoo!などに勝てる見込みはありません。
今後はSNSやインフルエンサーの影響力も十分に考慮しつつ、企業ごとに独自性ある口コミマーケティングを模索する必要があるでしょう。
意外に思う人もいるかもしれませんが、中国は、日本以上に口コミを重視する文化。自国企業が発信する情報への不信感などから、多くの中国人は、ネット上のリアルな口コミを重要な購買基準としています。
口コミ先進国の中国だからこそ、口コミマーケティングの手法も多彩です。主な手法としては、以下の3種類が挙げられるでしょう。
中国で大人気のSNS「WeChat(微信・ウィーチャット)」で企業の公式アカウントを開設し、これを軸に情報発信していく手法です。ユーザーに口コミとしてシェアしてもらうことで、情報の拡散を狙います。
日本と同様、中国にもインフルエンサーたちがたくさんいます。これらインフルエンサーに自社製品を試してもらうことで、特定製品の情報拡散を狙う手法です。
自社製品のモニターたちに対し、既存の口コミメディアへ体験型の情報を投稿してもらう手法。日本の一部口コミメディアにも同じ手法が散見されます。
中国における口コミマーケティングを語るうえで、外してはならない存在が口碑(koubei)。アリババグループ傘下という資本力を活かし、創業4年にして250万件ものオフライン店舗が加盟したO2O仲介のサービス会社です。
消費者に対しては割引クーポンや口コミレビューなどのサービスを行い、加盟店に対しては販売システムの提案サービス等を提供。一見、他のO2Oサービスと違いがないようにも思えますが、明らかに同業他社とは一線を画すサービスを展開しているのが口碑(koubei)の特徴です。以下、口碑(koubei)が行っている独創的なマーケティング戦略を2つご紹介します。
口コミの信憑性は消費者の購買行動に直結します。だからこそ口碑(koubei)では、実際に商品を購入したユーザーしか口コミを投稿することができないシステムを採用。どんな人でも口コミを投稿できる同業他社に比べ、口碑(koubei)の口コミは高い信憑性があるとされています。
口碑(koubei)では、「共同購入型クーポンを購入するユーザーは、すでにその店の常連客である」と考えています。その店で商品を購入することを決めている常連客が、少しでもお得に商品を購入するために共同購入型クーポンを利用している、という考え方です。
この仮説に基づき、口碑(koubei)では共同購入型クーポンを廃止。常連客を広げるためのマーケティング手法として、割引クーポンを重視した戦略を提案しています。
他の口コミ情報アプリとの差別化を模索していた口碑(koubei)。過去、さまざまな発想から追加機能を実装したものの、競合との明らかな差別化を図ることに行き詰まりを感じていました。
そのような中で口碑(koubei)は、日本のアプリ開発会社であるモンスター・ラボの提案を採用。店舗と顧客とのコミュニケーションの場を設けて来店機会を増やすべく、店舗側が独自で編集・管理できるプラグインを開発することにしました。
モンスター・ラボが開発した口碑(koubei)のプラグインは、すでに中国の一部ショッピングモールにて試用中。今後、一般公開を視野に入れた改善を継続していく予定です。
モンスター・ラボは、現・代表取締役である鮄川宏樹氏が2006年に創業したアプリ開発会社。単にアプリ開発を手がけるだけではなく、デジタルプロダクトの企画・開発・ローカライズ・マーケティング等を含めた「グローバルソーシング事業」を、2019年現在世界13か国23都市で展開しているアプリ系の総合会社です。
創業以来、その斬新かつ専門性の高い企画・提案・制作に多くの大企業が注目。過去2,200件を超えるアプリ開発実績の中には、すでに一般的に知られている有名アプリも多数あります。
会社名 | 株式会社モンスター・ラボ(Monstar Lab, Inc.) |
---|---|
住所 | 東京都渋谷区広尾1-1-39 恵比寿プライムスクエアタワー 4F |
主要取引先 | エイベックス・マーケティング / NHKエンタープライズ / オリンパス / コナミデジタルエンタテインメント / サイゼリヤ / サイバーエージェント / さかい / 電通 / トランスコスモス / 社団法人日本音楽著作権協会 / 博報堂 / バンダイナムコゲームス / 家庭教師のトライ / 集英社 / ディー・エヌ・エー / 朝日新聞社 / マクロミル / ベネッセホールディングス / エイチ・アイ・エス / KDDI / ウォルト・ディズニー・ジャパン / ポケモン / ほか多数 |
以上でご紹介したように、今やネット上の口コミを使ったマーケティング手法は、日本のみならず世界中で一般化しています。いや一般化にとどまらず、もはや口コミは、企業全体の業績を左右する大きなマーケティングツールになったと言っても良いでしょう。この傾向は、今後ますます加速し拡大していくことが予想されます。
加速と拡大が予想される口コミマーケティングだからこそ、従来型の工夫のない口コミ手法では、時代の波に埋もれて消えていくことにもなりかねません。独自性や工夫のない口コミマーケティングで良質のレビューを収集することは、近い将来、困難になっていくものと思われます。
積極的な事業戦略として口コミマーケティングを活用するならば、企業の独自性が不可欠。そのためにこそ、アプリなどのIT技術を用いたオリジナリティある手法を検討していきたいものです。
Copyright (C) スマートフォンアプリ開発会社BEST5 All Rights Reserved. | サイトマップ