予約アプリとは、ユーザーが自身のスマホを通じてサービスの予約等を行うアプリのこと。飲食店や美容院、フィットネスジム、医療機関など、様々な業種で広く導入されています。
予約アプリに搭載されている一般的な機能は、空き状況確認や予約登録・変更・キャンセル、決済関連、リマインダー通知など。ユーザーの利便性が高まるだけではなく、店舗側もまた管理画面を通じて予約業務の効率性が高まります。
なお昨今では、CRM等と連携によるマーケティング機能を搭載した予約アプリも誕生しています。今や予約アプリは、企業のビジネス成長に貢献する大切なツールへと成長しつつあります。
企業が予約アプリを導入する理由は、他でもない、企業側とユーザー側の双方の予約関連が効率化するからです。
企業側にとっては、電話対応などに応じる手間を省けます。予約に関連する人的なミスの減少、リマインダー機能を通じた無断キャンセルの抑制にもつながるでしょう。
ユーザー側にとっても、空き状況をリアルタイムで把握できること、24時間いつでも予約できること、リマインダー機能を通じた予約の確認ができることなど、多くのメリットがあります。
双方にとってのメリットが大きいからこそ、今後もますます予約アプリは一般化していくことでしょう。
既存のコードやパーツを使わず、ゼロベースから新規システムを開発する手法。特定の具体的なビジネス要件、自社オリジナルの機能に完全適合した予約アプリを開発したい場合に推奨される開発方法です。
精度の高い予約アプリの開発が可能ですが、開発プロセスに高い専門性が求められること、多大な時間を要すること、開発コストが高額になることなどを理解しておく必要があります。
プラットフォームを使い、視覚的・直感的な操作のみでアプリ開発する手法。プログラミングの知識・スキルがほとんどないスタッフでも、比較的容易に目的のアプリを開発できます。
ただし、簡便さを特徴とするノーコード開発である以上、複雑かつ高度な機能の実装には限界があることを理解しておきましょう。
クラウド経由でユーザーに予約システムを提供する手法。極論、すでに用意された予約システムにユーザーを遷移するだけなので、導入は非常に簡単です。
なおSaaS型予約システムには有償プランと無償プランがありますが、無償プランを選んだ場合、予約数に上限が設定されていることもある点にご注意ください。
既存のWebサイトやCMSなどに予約機能を追加搭載する手法。アプリ開発コストを抑えつつ、既存サイトの機能を拡張する形となります。
システムの選択肢としては大変合理的ですが、複雑なカスタマイズには対応できないことがある点、また、選択したプラグイン次第ではセキュリティリスクがある点に注意が必要です。
開発方法を選ぶ際には、コストや開発スピード、求めるカスタマイズ性などを基準に検討します。
例えば、なるべくコストを抑えつつスピーディに予約アプリを開発したい場合には、SaaS型予約システムやノーコード開発がおすすめ。逆に、コストや時間がかかってでも自社のオリジナル性を強調したい場合には、スクラッチ開発が適しているでしょう。
カスタマイズ性の視点から見た場合、標準機能で十分ならばSaaS型やプラグインが適しています。逆に、独自の業務機能等を搭載したアプリを求める場合にはスクラッチ開発、またはカスタマイズ性の高いプラットフォームを検討してみましょう。
将来的に高い拡張性が必要となる可能性があるならば、スクラッチ開発やカスタマイズ可能なSaaSなど、長期的な運用を前提とした開発方法が望まれます。
以下、予約アプリの導入が進んでいる業種を5つピックアップし、それぞれの業種に必須とされる予約アプリの機能をまとめてみました。
業種 | 予約アプリに必須となる機能 |
---|---|
飲食店 | リアルタイム空き状況/日時・人数指定予約/事前注文/テイクアウト予約/順番待ち管理、など |
宿泊施設 | 部屋別予約/日時・人数指定予約/オンライン決済/チェックイン・チェックアウト時間指定/食事の有無/レビュー投稿、など |
医療機関 | 診療科目別予約/日時予約/診療時間選択/問診表入力/再診予約/保険証・診察券情報登録、など |
フィットネスジム | 日時予約/レッスン別予約/トレーナー指名/リアルタイム混雑状況表示/キャンセル待ち登録/決済システム、など |
美容院・サロン | 日時予約/担当スタッフ指名/メニュー予約/リマインダー通知、など |
ほとんどの予約アプリで標準的に見られる機能とは別で、次のような機能も搭載されていれば、ユーザーや企業側の利便性がより向上するのではないでしょうか。
ユーザー体験を向上させるための重要なポイントとして、まずはUI/UXをシンプルにすることが大事。可能な限り予約までの手順を簡素化し、直感的に操作できるデザインを検討しましょう。
また、ユーザーにストレスを感じさせないためには、リアルタイム空き状況の表示機能やログインなしでも予約できるシステムなども有効。アプリ1本に固執せず、アプリ以外の予約手段の設定も忘れないようにしましょう(LINE予約やWebサイト予約など)。
予約アプリ開発の費用は、選択する開発方法により全く異なります。また、同じ開発方法であっても、搭載する機能やカスタマイズ性などにより、費用には大きな幅があります。
以下、主要な開発方法別の費用相場を確認してみましょう。
開発方法 | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
スクラッチ開発 | 500万~3000万円以上 | ゼロベースからの開発となるため、4つの開発方法の中では最も高額。 |
ノーコード開発 | 10万~200万円程度 | 低コスト&短期間で開発可能。カスタマイズ性には限界あり。 |
SaaS導入 | 月額5千~10万円程度 | すぐに予約システムを導入できる。費用は安価だが、毎月かかることに要注意。 |
プラグイン導入 | 数千~数十万円 | 既存システムに追加搭載できる。導入後、調整が必要となる場合もあり。 |
スクラッチ開発は非常に高額となるものの、企業のニーズに応じた完全オリジナルの予約システム構築が可能となるため、差別化やブランド化を図りたい大規模な事業に向いていると言えます。
一方、SaaS導入やプラグイン導入は、機能性やカスタマイズ性に制限があるものの、比較的低コストで開発が可能なため、やや事業規模が小さめの企業・個人事業主などに適しているのではないでしょうか。
シンプルな標準機能のみに限定すれば低コストでの開発も可能ですが、機能性やカスタマイズ性を高くすればするほど、費用がふくらんでいくことは避けられません。
また、オリジナルデザインのUI/UXも費用を上げる大きな要因となるため、できる限り費用を抑えたいならば、一般的なテンプレートを使用したほうが良いでしょう。
ほかにも、開発期間に応じた人件費やシステム連携の有無、導入後の保守・運用なども費用が変動する主な要因です。
高いオリジナリティにこだわらなければ、複雑なプログラミングを必要としないノーコード開発を検討してみましょう。カスタマイズ性に制限はあるものの、大幅にコストを抑えた開発が可能です。よりコストを抑えたいならば、SaaSやプラグインの導入を検討してみましょう。
選択する開発方法にもよりますが、仮に予約システムをゼロから開発するためには、プログラミングやデータメース設計、セキュリティ関連などの専門知識が必要。また、開発した後もバグ修正やアップデートなどの技術的課題が多いため、社内に十分なリソースのある企業でなれば、理想とする予約アプリの開発は難しいでしょう。
リソースのある企業であっても、競合他社との差別化につながる競争力の高いアプリを開発できるかどうかは、また別の問題となります。
予約アプリの開発を外注する主なメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
品質 | 高い専門能力を持つ技術者が開発を行うため、高品質なアプリ開発ができる。 | 自社と外注先との間に認識の齟齬があれば、納品後に修正が必要となることもある。 |
開発スピード | アプリ開発専門会社が対応するため、自社開発に比べて早期の開発が期待できる。 | 外注先のスケジュールに合わせなければならない事態も想定される。 |
コスト | 完成度の高いアプリが期待できるため、長期的に見ればコスト削減につながる可能性もある。 | 初期費用が高額になることに加え、一般的にはランニングコストも発生する。 |
メンテナンス性 | 継続的に保守・アップデートを依頼できるため、自社の運用負担が軽減される。 | 修正等のサービスを受ける都度、費用が発生することもある。 |
独自性 | 自社の要望に合わせたカスタマイズが可能。 | 低コストの開発方法を選んだ場合、カスタマイズ性には限界がある。 |
高品質な予約アプリを短期間でリリースしたい場合には、高い専門性を持つ企業へ外注したほうが良いでしょう。もとより、アプリを独自開発したいにも関わらず社内にエンジニアが不在の場合には、外注を選ばざるを得ません。
また、アプリ開発後の保守・メンテナンス等を含めて全般的に業務を任せたい場合も、最初から専門業者へ外注しておいたほうが安心です。
何よりもまず「予約アプリの開発実績が豊富かどうか」という点に注目しましょう。一口にアプリ開発とは言っても、開発するジャンル・分野により専門性や視点が異なるためです。
また、開発後の保守・運用サポートの有無も重要なポイント。特にバグ修正や機能追加の対応範囲については要確認です。
さらに、ごく一般的なポイントになりますが、双方に認識の祖語が生じないよう円滑にコミュニケーションを取れる会社かどうか、という点も重視して外注先を比較検討しましょう。
見積もり時には、最低でも次の項目はチェックしておきましょう。
「言った、言わない」を避けるため、必ず形に残る様式で見積もりを取得しましょう。
外注先選びで失敗しないためには、初めから1社に絞り込まず複数社から見積もりを取得することが大事。また、見積もりを基に業者を比較する際には、費用の安さだけで決めないことも大切です。安い業者の場合、品質面やサポート面でのトラブルが発生する恐れもあるため、料金だけではなく実績や専門性などもしっかりと比較しましょう。
過去の事例やクライアントの声なども参考にし、信頼できる外注先を選ぶようにしましょう。
予約アプリの主な開発方法には、スクラッチ開発、ノーコード開発、SaaS導入、プラグイン導入の4種類があります。それぞれ、特徴やコスト、開発に必要な専門性、開発にかかる期間、カスタマイズ性などに大きな違いがあるので、まずは各開発方法の違いをよく理解し、自社に適した方法を選択することが大切です。
実際に開発する際には、社内に十分なリソースがあれば自社開発も可能ですが、多くの場合、外注を検討することになるのではないでしょうか。外注先を選ぶ際には、過去の実績やサポート体制、コスト等を慎重に比較し、信頼できる業者へと絞り込んでください。
理想的な予約アプリを開発し、業務効率化と顧客満足度向上の両方の実現を目指しましょう。
ここでは、「PoC(Proof of Concept:概念実証)や実現性」に強いベンダー、「連携やインフラに関する技術力と提案力」に優れたベンダー、「低コストの設計・保守」を可能にするベンダーをそれぞれ紹介します。