業務アプリとは、企業が業務を効率的に遂行するために開発されたスマホ向けのアプリのこと。一般的に、タスク管理や業務管理、ワークフロー改善、データ共有、スケジュール調整、コミュニケーション支援などの機能が搭載されています。
業務アプリをクラウドと連携すれば、企業内で各種のデータをリアルタイムで共有することも可能。組織全体の業務効率化を大きくサポートします。
業務アプリを導入する理由を一言でいえば「業務効率化」。たとえば、次のような効果を通じて業務効率化へとつなげます。
業務アプリの導入により、実際に顧客対応時間を大幅に削減できた企業も続出しています。削減できた時間をコア業務へ向けることで、売上体質が向上したという企業も見られています。
業務アプリの主な開発方法として、以下4種類の特徴を確認しましょう。
ゼロベースから自社オリジナルのアプリを開発する方法。高い拡張性と柔軟性を備えた開発方法ですが、要件定義や設計・開発に長井時間と膨大なコストがかかるため、他の開発方法とよく比較検討してから選択するよう望まれます。
ツールを使って直感的な操作でアプリを開発する方法。プログラミングの知識がなくても、感覚的な操作のみで目的のアプリを開発できます。開発の簡便さとスピードは魅力ですが、カスタマイズ性に制限がある点は理解しておく必要があります。
クラウド上で提供されている既存の業務アプリを利用する方法。初期コストを抑えながらスピーディにシステムを導入したい企業には適していますが、多くはカスタマイズ性が低いため、自社独自の業務フローに対応できないこともあります。
既存の業務アプリを自社ニーズに合わせてカスタマイズする方法。SaaS型業務システムに比べるとカスタマイズ性は高く、スクラッチ開発に比べると低コストですが、追加できる機能に限界があることを理解しておく必要があります。
上記4種類の業務アプリ開発について、それぞれのメリット・デメリットを簡単に見てみましょう。
開発方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
スクラッチ開発 | 自社の業務フローにマッチさせられる高い拡張性と柔軟性がある。 | 開発期間が長期に及び、かつ開発コストが高額となる。 |
ノーコード・ローコード開発 | 開発スピードが速く、かつ開発コストが安い。 | カスタマイズ性が低いため、自社ニーズに合わないこともある。 |
SaaS型業務システム | 低コストですぐに利用できる。 | 自社の業務フローに完全には適応できない可能性がある。 |
パッケージソフトのカスタマイズ | 既存機能をベースにしたカスタマイズが可能。 | 機能追加に限界がある。また、長期運用でコスト高になる可能性もある。 |
「予算」「開発期間」「必要な機能」「将来的な拡張性」を基準に、最適な開発方法の選び方を見てみましょう。
業務アプリの導入例が多い4つの業界をピックアップし、それぞれの業界で必要とされる機能や用途についてまとめました。
業界 | 必須機能 | 用途 |
---|---|---|
製造 | 生産管理/在庫管理/設備保守など | 生産計画の最適化や原材料・製品の在庫状況の把握、設備点検のスケジュール管理など。 |
物流 | 配送管理/ルート最適化/倉庫管理など | リアルタイム配送追跡、配送ルートの最適化計算、入出庫管理の最適化など。 |
医療 | 電子カルテ/予約管理/医療データ連携など | 患者別情報のデジタル管理、円滑な診療予約、医療機関同士の情報共有など。 |
IT | プロジェクト管理/タスク管理/コードレビューなど | 開発中のタスクの進捗管理、メンバー間の作業調整、品質向上に向けたコードチェックなど。 |
例えば物流業界では、特にGPSを活用したリアルタイム配送追跡機能が重要となる一方、IT業界ではタスク管理機能やコードレビュー機能が重要。業界により、業務アプリで重視される機能は大きく異なります。
標準的な機能にあわせ、次のような機能を追加することで、より業務効率化につながることがあります。
使いやすいUI/UXを備えてユーザー体験を向上させることで、ユーザーのストレス低減からさらなる業務効率化が期待できます。
例えば、直感的なUIデザインによる分かりやすいインターフェースの採用、ワンタップで主要機能にアクセスできるストレスフリーな操作性、自社業務フローに合わせて設定変更できるカスタマイズ性、レスポンス速度の最適化など。毎日使われる業務アプリだからこそ、ユーザー体験の向上は開発における重要なテーマとなります。
業務アプリの費用相場は開発方法により大きく異なります。また、同じ開発方法でも機能性やカスタマイズ性などの違いにより、費用には大きな幅があります。主な4種類の開発方法別の費用相場を見てみましょう。
開発方法 | 費用相場 | 特徴 |
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スクラッチ開発 | 500万~数千万円 | 完全自社適応が可能だが、開発期間が長くコストも高い。 |
ノーコード・ローコード開発 | 50万~300万円 | 開発コストを抑制できるがカスタマイズ性に劣る。 |
SaaS導入 | 月額数千~数十万円 | 短期かつ低コストで導入可能だが、完全なカスタマイズは困難。 |
パッケージソフトのカスタマイズ | 100万~1000万円 | コスト面とカスタマイズ性のバランスは比較的良好。 |
業務アプリの費用が変動する主な要因の1つが、機能の複雑さ。標準的な機能のみならば安価で開発可能ですが、自社業務に適応する特殊機能の種類や追加数によっては、大きく費用が上がる可能性もあります。
ほかにも、デザインのカスタマイズや既存システムとの連携も費用を上げる大きな要因。初期コストだけではなく、保守・運用の内容や頻度などによりランニングコストも変動します。
少しでもコストを抑えるためには、ノーコードツールやSaaSなど、コストが低めの開発方法を選ぶことが大切。これらに用意されたテンプレートを活用し、かつ、搭載する機能を必要最低限に絞り込めば、開発コストを大きく抑えることが可能になるでしょう。
また、業者選定をする際には、複数の業者から見積もりを取得して比較することも大事。料金だけで比較することはおすすめしませんが、内容のしっかりしたサービスを低料金で提供している業者があれば、その業者を選ぶに越したことはありません。
社内に十分な人的リソースがあれば業務アプリの自社開発も可能ですが、多くの場合、社内に何人もの経験豊富なエンジニアが在籍しているわけではありません。
また、仮に社内に十分な人的リソースがあったとしても、開発環境の整備や人件費等の問題で、かえって外注より高くつく場合もあります。もとより、それら人的リソースには別の本来業務があるので、並行してアプリ開発を進められる時間はないでしょう。
一部の極めて恵まれた企業を除き、現実として、業務アプリの自社開発は難しいと言わざるを得ません。
業務アプリの開発を外注する主なメリット・デメリットを見てみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
技術力 | 経験豊富な専門性の高いエンジニアが開発を行うため、技術力に問題はない。 | 社内には技術力が蓄積されないため、将来的にも外部に頼らざるを得ない。 |
品質 | 実績豊富な開発会社に依頼すれば、高品質なアプリの開発が期待できる。 | 自社と外注先との認識の齟齬があれば、期待した品質を得られない可能性もある。 |
開発スピード | アプリ開発の専門家が対応するため、迅速な仕事が期待できる。 | 全面的に外注先へ頼る以上、外注先のスケジュールに合わせた調整が必要となる。 |
コスト | 必要最小限の機能だけ依頼すれば、無駄なコストが発生しない。 | 特に初期費用は高額になる可能性がある。 |
社内にエンジニアがいない場合や、仮にいたとしても十分な開発経験がない場合、通常は外注を選択する形となるでしょう。そのような状況の中で無理に自社開発を目指した場合、想定以上に時間やコストがかかる恐れがあるのでご注意ください。
また、高度な専門知識を要するアプリ開発を行う場合や、できる限り短期間でアプリを導入したい場合、長期的なメンテナンスも外部委託したい場合なども、自社開発ではなく外注を選んだほうが良いでしょう。
アプリ開発会社を選ぶときには、料金よりも何よりもまず「実績・専門性」をチェックしてみてください。自社が求める業務アプリの開発実績、専門性を有していることは、開発会社選びの大前提となります。
その上で、初期費用やランニングコスト、運用後のサポート体制なども確認してみましょう。
また、多くの場合は運用後も長い付き合いになると思われるため、コミュニケーションが円滑な会社かどうかという点もチェックしておきたいポイントです。
一般に見積もりは、業者ごとの料金を比較する際に取得するものですが、業務アプリ開発における見積もり取得の際には、搭載する機能の開発範囲や納期、納品後のサポート体制などもしっかりとチェックすることが大事。自社の意図が漏れなく見積もりの中に反映されていることを確認し、その上で料金に目を通す、という順番とします。
アプリ開発の外注で失敗しないための3つのポイントを確認しておきましょう。
業務アプリ業務アプリの開発を前に、自社開発にすべきか、それとも外注すべきかを悩んでいる企業様もあることでしょう。
自社開発にも外注にも、それぞれメリットとデメリットがありますが、そもそも社内の技術的・人的リソースが不足している場合には、無理に自社開発をしないほうが無難。無理な自社開発は、結果としてコスト的にも期間的にも外注より不利になる可能性があるからです。そのような視点に立つと、多くの企業では、最終的に外注を選ぶ形になるのではないでしょうか。
ただし、外注を選ぶ場合でも、全ての業者が十分期待に応えてくれるとは限りません。実績や専門性、納品後のサポート体制などをしっかりと確認し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
信頼できる業者との連携を通じ、長期的な業務効率化やコスト削減の実現を目指していきましょう。
ここでは、「PoC(Proof of Concept:概念実証)や実現性」に強いベンダー、「連携やインフラに関する技術力と提案力」に優れたベンダー、「低コストの設計・保守」を可能にするベンダーをそれぞれ紹介します。